なぜ“綺麗なせん断面”が必要とされるのか?

“綺麗なせん断面”の用途について

図面に指示がなければ、通常のプレス品は“せん断面”の仕上がりは重要視されません。
では、どのような場合に“綺麗なせん断面”が必要となるのでしょうか? 弊社では部品の用途詳細は分かり得ませんが、ここではお客様からの情報を基に考察してみます。

弊社で生産させて頂いている製品には、図面上に“せん断面”の指示がされている場合が多くあり、『せん断面70%以上確保』、若しくは逆の表現で『破断面とダレ面合わせて30%以下』というような表現がされます。

“綺麗なせん断面”が求められる製品は、見た目の良さは勿論ありますが、ギヤ形状であったり、カム機能を持った製品であり、製品の側面に機能を持たせていると理解しています。通常のプレス品と違い、製品の切断面が相手部品と接触、若しくは摺動しながら動作する機能を持った製品の場合は、寸法精度はもちろんのこと摩擦力や振動の低減、静音性の向上という面でも“綺麗なせん断面”が求められます。

せん断面の面粗さについてのレポートはこちら!

1.ギヤ形状のせん断面について

ギヤ形状の部品は、歯形の誤差や歯面の粗さを軽減し、精度向上を図るため加工後に研磨で仕上げる場合があります。ギヤを内蔵した機械の可動効率向上のほか、動作の静音化を目的としても研磨による仕上げが行われます。

研磨加工では、砥石によりμm単位でギヤ歯を磨き精度を調整しますが、ギヤ歯をプレスで仕上げる場合には、精密せん断加工の技術を用います。目的や求められる動作効率・精度に応じて、求められる“せん断面”が決まってまいりますが、弊社がプレスで加工可能なギヤ精度は“JIS6級”程度までとなっております。
近年の産業機械分野では、とりわけ設備機器の高精度化・静音化が求められるようになり、機器に組み込まれるギヤの仕上がりは、機器の精度や静音性に多大な影響を与えると言われています。適切なバックラッシュ・潤滑性能を得る為にも、綺麗な“せん断面”が必要となります。

※精密せん断加工で作成されたギヤのせん断面

バックラッシュとは?
ギヤの回転を無理なく滑らかにするため、ギヤ歯とギヤ歯の間には多少の隙間が必要です。この意図して設けられた「隙間」や「遊び」のことを“バックラッシュ”と言います。
 バックラッシュが小さすぎると、潤滑性能が不充分になりやすく歯面同士の磨耗が大きくなり、歯車自体の寿命が低下してしまう可能性があります。逆にバックラッシュが大きすぎると、ギヤ歯同士の噛み合いが悪くなり騒音や振動の発生原因となってしまい、設備寿命を短くさせてしまう可能性があります。

2.カム機能部品のせん断面について

カム形状の機能部品は切削加工やプレスなどで生産され、精度向上やスムーズな動作を目的として、摺動面を綺麗に仕上げます。摩擦を軽減し部品摩耗を抑制することにも繋がります。

摺動面の仕上げは、切削加工・研磨加工などにより寸法精度&面粗さを調整しますが、カム機能部品の摺動面をプレスで仕上げる場合も、精密せん断加工の技術を用います。目的や求められる動作効率・精度に応じて、どの程度の“せん断面”が必要か決まってまいりますので重要な要素だといえます。
近年の産業機械分野では、とりわけ設備機器の高精度化・静音化が求められるようになり、機器に組み込まれるカム機能部品の仕上がりは、機器の精度や静音性に多大な影響を与えると言われています。
弊社ではカム機能部品の生産実績が非常に多く、安定した設備動作を得る為にも弊社の精密せん断加工をご活用下さい。

※精密せん断加工で作成されたカム形状の機能部品

“綺麗なせん断面”形成には『精密せん断加工』

ギヤ形状の部品、カム機能部品などにおいて、“綺麗なせん断面”が必要な理由を述べましたが、ここからは“綺麗なせん断面”を形成する方法について触れたいと思います。

切断面の改善について

通常プレスで生産された部品の切断面は、ダレが発生し破断面は斜めに凹んだ形状になるため、ギヤ形状・カム機能部品で求められる“綺麗なせん断面”とはなりません。では、どうすれば、ギヤ形状やカム機能部品で必要な“綺麗なせん断面”にする事ができるでしょうか?

※シェービング加工で切断面を改善

弊社の“精密せん断加工”はせん断面の面積を増加させて、ダレの部分と凹んでしまった破断面を一緒に削ぎ取ります。弊社の技術では、せん断面100%を保証することは困難ですが、“綺麗なせん断面”を形成することが可能です。
ギヤ歯やカム機能部品の摺動面として安心してお使い頂けます。

※弊社の精密せん断技術で作成された切断面の状態

機能上必要な部分だけを、精密せん断加工(シェービング)することも可能です。オーバースペックとならぬよう用途に合わせた工法転換をご提案させて頂きます。

※カム形状部品の必要な部分(赤線部)を精密せん断加工した事例
※精密せん断加工でダレ・破断面が改善されたギヤ歯状態

>>精密せん断加工とは?精密せん断加工を実現する加工方法をご紹介!

当社のカム機能部品の加工事例

当社のギヤ形状部品の加工事例

精密せん断加工のことなら、工法転換プレス加工技術.comまで!

いかがでしたでしょうか。今回は精密せん断加工についてご紹介しました。

工法転換プレス加工技術.comを運営する熊谷精機株式会社は、プレス加工のプロフェッショナルとして、主に自動車、産業機械に向けてあらゆる部品を製作してまいりました。

当社は、様々な工法転換のご提案実績がございます。切削部品のプレス化や複数部品の一体化、FB(ファインブランキング)製品の一般プレス加工化など、当社がこれまで培ってきた精密せん断加工技術、冷間鍛造加工技術を用いて、お客様のご要望の製品を製作いたします。

さらに、当社では月産100〜100万個以上まで様々な数量に対応することができます。工法転換を検討する際は、ご要望に応じて生産性検証を行い、あらゆる課題を抽出した上で合理化提案をいたします。

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