プレスによるダボ出し加工について

プレス加工による“ダボ出し”とは?

まずプレス加工や板金における“ダボ”とは、金型を用いて材料の一部分に圧力を加えることでできる、非貫通の突起形状のことを指します。

ダボ出し加工とは、主に金属部品の溶接や組立の位置決めに利用する凸形状(突起)を金属板に成形する加工のことであり、その凸形状は「ダボ」などと呼ばれます。ダボは、部品の位置決めに利用するほか、ストッパーなどの機能に使われる場合もあります。

そして、このダボを作製する加工方法をダボ加工と呼びます。また、非貫通の穴形状を作ることから「半抜き」加工とも呼ばれます。
ダボを作るためには、材料をパンチで貫通しないところまで押し出して加工します。ダボは板状の材料を押すことで作製するため、加工可能な高さには限界があります。
部材の位置決めを行うためなど、低い高さの突起をコストをかけず加工したい場合などに、ダボ加工が利用される場合が多いです。また、板金の厚み(t)が大きいほどダボ高さの限界値を上げることが可能です。

板金とは? 「金属を板状に薄く打ち延ばしたもの」や「金属板を加工すること」を意味します。

※板状の金属素材へダボ出し加工

ダボは下図のように、部品の凹や穴に嵌め込むことで、板金と部品の相対位置を固定し、溶接するための位置決めやストッパーに利用されます。

※ダボ出し製品の位置決め

溶接に利用するプロジェクション形状も、ダボ出し加工で成形されます。

「プロジェクション」とは突起という意味です。 溶接したい金属部材の一方にプロジェクション(突起形状)を作り、加圧しながら突起部分に集中して電流を流します。 金属の抵抗発熱によりプロジェクションが溶けることで部材同士を溶接することができます。

※プロジェクション形状のリング部品
※突起の裏面

ダボ出し加工のメカニズム

半抜き加工やハーフパンチ加工と呼ばれる加工法で、パンチを貫通させずに反対面に凸形状を作っています。体積を移動させてダボ形状を出していますので、凸形状の裏面には必ず凹み形状が生じます。厳密には凸形状と凹み形状の体積は同じにはなりませんので、経験則を基に金属の移動量を設定しています。一般的には材料厚みを超える高さのダボ出しは難しいと言われております。

下記写真の製品はシートベルトの部品ですが、冷間鍛造の技術を用いながら、体積の移動量を計算することで4㎜厚の板材に5.3㎜のダボ高さを実現しています。

ダボ高さ5.3㎜の加工製品
※ダボ形状裏面の凹み

バーリング加工とは?ダボ加工との違い

一方で、ダボ加工と似ている加工方法として、バーリング加工と呼ばれるものがあります。バーリング加工とは板金の一部をプレスし、フランジがついた貫通穴を作製する加工方法のことを指します。タップ加工の下穴などに利用されます。

ダボ出し or 半貫き加工を実際に検討する際の問題点、懸念事項は?

ダボ出し加工には一般的にプレス加工機が用いられますが、凸状形状の高さや板金材料の板厚には注意が必要です。注意しない場合は、凸状形状が板金を貫通してしまうことに繋がったり、板厚に対して無理な高さのダボを成形しようとすれば割れが生じてしまう可能性もあります。
その他に、金型のパンチとダイの隙間であるクリアランスの大きさも重要になります。クリアランスの大小はダボ出しの精度に影響を及ぼすので、最適なクリアランスに設定しプレスを行う必要があります。

ダボ出し加工では貫通させずに凸状に成型するので、半貫加工ハーフパンチと呼ばれることもあります。ダボの品質が悪く、貫通してしまったり割れが発生してしまったりすると、板金自体の強度を下げることに繋がります。ステンレス(SUS)は比較的硬い金属であり割れが生じやすいため、鉄などと比べ、板厚に対してあまり高い高さの凸形状(ダボ)を成形することは困難にです。

当社のダボ出し加工+半貫き加工製品

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